今さら聞けない、赤ワインを注文するときに知っておくべきブドウ品種

  1. ライフスタイル

レストランで『どんなワインがお好きですか?』と聞かれ、答えられない…恥ずかしい、という経験をした方は多いはず。ワインの味はブドウ品種に由来します。そのブドウ品種とその特徴だけ知っておけば、スマートに会話が流れていくこと間違いなしです。今回は「今さら聞けない」赤ワインのお話です。

赤ワインに使われるブドウは「黒ブドウ」

Goran HorvatによるPixabayからの画像

 

ブドウは大きく分けて「白ブドウ」と「黒ブドウ」の2種類があります。赤ワインに使われるブドウは「黒ブドウ」です。

「黒ブドウ」とはブドウの果皮が黒っぽい紫色のブドウです。果皮部分には赤い色の色素であるアントシアニン(※植物に広く存在する赤色色素でポリフェノールの一種)が含まれています。

赤ワイン、ロゼワインは「黒ブドウ」から作られますが、白ワインも「黒ブドウ」から作られる種類があります。

黒ブドウから白ワイン?と不思議に思うかもしれませんが、黒いブドウの皮を剥けば緑色の果実が出てきます。その果実だけを絞ると透明に近い、緑がかった果汁が取れます。その果汁をそのまま発酵させれば白ワインになるというわけです。

一方、赤ワインは黒紫色の果皮を取り除かず、そのまま搾って果汁と一緒に漬けておきます。そうすることで果汁に赤色が着き赤ワインとなるのです。

このブドウの果皮や果肉などを果汁と共に漬け込む工程を、「醸し(かもし)」と言います。醸し時間によって色合いや味わいに違いが生じます。つまりこの醸し時間はワイン・生産者によって異なるのです。見た目も美しく、美味しい赤ワインを造るために、「醸し」を行ってあの深い色合いと渋味成分を得ているところが重要なポイントです。

それではここから黒ブドウの代表的な品種をご紹介します。

 

黒ブドウの王様。どっしりとした赤ワインを選ぶなら! カベルネ・ソーヴィニヨン

世界でもっとも多く栽培されている、代表的な黒ブドウ。どんな方でも名前は知っている「有名人」です。どっしりとした味わいはまさに王様のような存在。フランスのボルドー地方原産ですが環境適応能力があるので、栽培地域が世界中に広っています。

味わい
重さがあり渋味にかなりの魅力があります。ガツンとした濃厚な赤ワインを飲みたいときに選ぶべき品種。単体で作られることは少なくメルローやカベルネ・フランなど少し柔らかい味わいの品種とブレンドで作られています。それにより酸味も感じられ、優しさの中に圧倒的な渋味がみえる「酸味と渋味のバランス」を楽しむワインとなります。

香り
若いうちはカシスやブルーベリーなど果実の香りが感じられるとともにミントや杉のような青っぽい自然な香りが現れることもしばしば。熟成するにしたがってプラムや熟したイチジクの香りが吐出します。また、枯れ葉や森の中の湿った空気を吸い込んだイメージが湧いてくる複雑なニュアンスを感じることができる品種です。

黒ブドウの王様的な存在のカベルネ・ソーヴィニヨン。肉料理との相性は抜群です。カジュアルな家庭的な肉料理からハイクラスな肉料理まですべてに相性がよく特にローストやステーキにあわせると個性がキラリと光ります。

 

ロマンチックなまるみとふくよかさが魅力。 メルロー

カベルネ・ソーヴィニヨンに次ぐ栽培面積を誇る、代表的な品種。フランス・ボルドー地方が原産です。早熟で糖度が上がりやすく、豊満な味に仕上がります。メルローは口当たりがふくよかになる特徴があり、尖っていないまるみのある味わいから多品種とブレンドで作られることが多い品種です。

例えば、カベルネ・ソーヴィニヨンの渋味や酸味をメルローの果実味で包みこんで造られるワインがあります。メルローが飲みやすくするという役割を担い、どことなく優し気なロマンチックなワインに仕上げてくれます。

味わい
香り、酸味や渋味すべてがとてもソフトな印象でワインをあまり飲んだことのない方でも受け入れやすい親しみやすい品種です。単体よりも主にはカベルネ・ソーヴィニョンとのブレンドで作られることが多く繊細なワインをつくる立役者となっています。

香り
ブラックチェリーやプルーンなどの熟した黒い果実の香りやコーヒー、チョコレートのような香りがします。少し土っぽいニュアンスがあるのが特徴です。強烈すぎないアロマの果実系の味わいで植物系の独特な個性はないのでとても親しみやすい香りです。

ボルドー以外の産地に、アメリカのカリフォルニア州、チリ、オーストラリア、日本などがあります。肉料理との相性はよいですがローストやステーキよりも煮込み料理に合わせるとよいでしょう。スパイシーな味付けの料理はメルローの味が負けてしまいますので避けたいところです。メルローの優しい味わいを生かすなら和食のすき焼きなどに合わせるととても上品な食卓となります。

 

世界で最も高品質な「ロマネ・コンティ」をつくる ピノ・ノワール

透明感のある明るいルビー色でもっとも熱狂的なファンが多く、世界一高額なワインを造るピノ・ノワール。生産者までも虜にする魅力にあふれた品種です。繊細で栽培がむずしいので、栽培面積自体はそれほど多くはありません。かつては「ブルゴーニュ以外では栽培できない」と言われていましたが、近年ではアメリカやニュージーランドでも栽培に成功しています。単一品種で仕上げられることが多く、ワインの王と讃えられる、ブルゴーニュの赤ワインを生み出す品種です。

味わい
非常に軽く心地よい酸味が抜群においしい品種です。渋味はさほどなく、比較的ライトな印象です。酸味の中にきちんとした果実味があり、「絹のような」「なめらかな」という表現をされることが多いことからわかるように、エレガントで他の品種とは異なった気品の高さを感じます。溶けるような舌触りは洗練された「女性」を連想させます。

香り
赤い小さな果実、サクランボやイチゴ、ラズベリーなど若いフレッシュな香りがチャーミングな品種。質の高いものになると土、キノコ、なめし皮やスパイシーな森といった少し複雑な印象の香りがします。

果皮の色はルビーレットと言われとても淡い薄い色をしているので仕上がったワインも透明感のある薄めのルビー色です。甘酸っぱいソースの料理や生ハムやローストビーフなど軽めの料理に合わせるおいしくいただけます。白身魚と合わせてもよいでしょう。

 

男性的な力強さがウリで人気急上昇 シラー

原産はフランス、コート・デュ・ローヌ地方。力強さに溢れ、人気急上昇している品種です。ブドウ自体は少し青みがかった濃い青色をしています。栽培が比較的容易なことから世界中で栽培され、コストパフォーマンスに優れたワインを生み出しています。

味わい
シラーの特徴は「男性的な力強さとコクにある」ということです。特に若いうちは豊かな渋味とあふれるような果実味で「野性的」という表現がピッタリです。時を経るにつれて気品ある果実味としっかりした酸味と強烈なスパイシーさがあらわれます。

香り
カシスやブラックチェリーのような黒い果実、そして最大の特徴である胡椒の香り。ビター・チョコレートのニュアンスが強く残ります。肉感あふれるとにもかくにも、パワフルで力強い濃厚さが魅力的です。どこか、少し鉄分を感じさせるフレーバーのあるワインが多いのでレアな部分が残るロースト肉に合わせていただいてもよいでしょう。しかし、なんといってもスパイシーさに特徴のあるワインが多いので、しっかりとした味付けの肉料理と召し上がっていただくことをおススメします。また、クセのあるチーズとも相性は抜群ですので是非、お試しください。

 

今回は赤ワインに代表される黒ブドウの品種を味わいと香りを中心にご紹介しました。

基本的な知識を持っているだけでワインの楽しみ方が拡がります。奥が深いワインですが気負わずに自分に合ったワインを探してみてください。

 

 

 

TSUBAKI

東京出身。大手広告代理店で勤務の傍ら、東洋医学、薬膳を学ぶ。
料理教室・セミナー講師として活躍後、現在はオーガニックや厳選されたものを使ったライフスタイルやレシピの提案をしている。自然体で生きることが人生のモットー。

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