ラグビートップリーグ、魂のFWコーチ湯原祐希
昨シーズンまで現役選手として東芝ブレイブルーパス支え、これからは専任フォワードコーチとして東芝復権を担う湯原祐希さん。日本代表としても活躍し、世界基準を肌で知る男だ。来季に向けてどの様な状況なのかインタビューを試みた。
湯原祐希プロフィール
所属チーム 東芝ブレイブルーパス
アシスタントコーチ
現役時代のポジションはフッカー
1984年1月21日生まれ 36歳
血液型 B型
出身地 千葉県
出身校 流通経済柏高校、流通経済大学
日本代表 22キャップ
専任コーチに
「昨シーズンまでは、プレイングコーチということで、選手兼アシスタントコーチをやらせて頂きました。現役生活を引退となりまして、今シーズンよりフォワードアシスタントコーチ専任になります。
引退に関しては、選手としてすべて出し切りやり切った気持ちもありますので、悔いもなくそれほど引きずる事もありませんでした。教えたい方(コーチ)に気持ちも上手くシフトチェンジが出来たと思っています。」
昨シーズンの東芝について
「昨シーズン(2019~20)の東芝は大きく変化があったシーズンだったと思います。夏に行われたトップリーグカップまでは、瀬川智広監督が指揮を執りました。カップ戦以降は新体制となり、ヘッドコーチにニュージーランドのトッド・ブラックアダー、バックスコーチにはジョー・マドック氏を招聘し、新しい戦術や戦い方をチーム内に明確に伝えてもらい、それによりチームも成長できたと思います。
東芝の練習は『親に見せられないくらい激しい練習』と昔はよく言われましたが、今でも、痛い事をタフにずっとやり続ける選手が多いと思います。そこで絶対に負けないメンタリティーを持ったチームです。それが『親にも見せられない練習』という表現になっていったのだと思います。」
選手の能力を引き出す
「電撃復帰はありません(笑)。コーチ目線からの話になりますが、僕と同じポジション2番のフッカー(HO)の森太志選手やその他の選手達は、みんな既に僕を超えていると思っています。凄く期待感があり、やってくれるという信頼があります。フッカーというポジション枠の中でも、それぞれみんな良い個性を持っています。フィールドが良い選手、セットプレイに凄く特化している選手とか、選手によりいろいろな個性があります。コーチとしては、その個性がどの様にしたら一番良いパフォーマンスを引き出せるのか、コーチングを含めて環境作りをしなければいけません。これから選手がどんどん成長していくのが凄く楽しみですね!」
ファンサービス
「大野均(東芝所属、先日引退した日本代表98キャップを持つ鉄人)さんは、いつも試合や練習後に最後までグランドに残りファンに接していて、選手の中でもいつも最後にロッカーに戻って来ていました。僕は決して有名な選手ではなかったですが、サインをくださいと言われた人には、時間がある限り接して、しっかりとファンサービスをやろうと思いました。」
東芝復活に向けて
「10年間、東芝はトップリーグ優勝から遠ざかっています。僕は有難い事に、2006年に入社し、2008~09、2009~10年シーズンの優勝を経験することが出来ました。優勝をかけた時のチームの雰囲気や、決勝前の1週間のピリピリとした緊張感、練習にたいしても、ホテルにいる時でも、試合会場に向かう時でも、この雰囲気を今の選手達にも味あわせてあげたいと思います。優勝するという空気がここ10年近くありません。ヘッドコーチも変わり大きな変化がありましたので、もう一度強い東芝を取り戻したいです。」
日本代表では
「日本代表時代によく一緒にいたのは畠山健介選手ですね。彼は凄く気を使う方なので、相部屋などでは気を使い過ぎてナーバスになりやすい様です(笑)。僕には気を使わなくて良いのか、日本代表時の遠征でのバス移動の時には、何故かいつも畠山選手が隣に座っていました(笑)。バスがガラガラなのに毎回隣に座ってくるんですよ(笑)。狭くてキツくて大変でした(笑)。二人でいろいろ話もしましたし、良い友だと思っています。」
ワールドカップ
「2011年のワールドカップニュージーランド大会に、出場させて頂きました。ニュージーランドの人達は、どこを歩いていても、どこのチームにも凄く気さくに応援してくれて、国中で『ラグビー選手がんばれ』と励ましてくれていました。
今回2019年の日本大会では、各地で日本のファンの方々が、いろいろなチームに対してアクションを起こしてくれました。参加国の国歌を歌うスクラムユニゾンプロジェクト等、僕も選手としてではなく1ファンとして関わらせて頂き、ニュージーランド大会と似た様なものを感じる事が出来ました。試合だけでなく、ファン達の活動を含めて見ていて楽しく素晴らしい大会になったと思います。試合会場だけでなく、パブリックビューイングでも試合前のアンセムを歌うために歌詞カードを配ってくれ、TVモニターの前でみんなで歌ったり、他の国の人々もフレンドリーに話しかけてくれたりして、凄く良い雰囲気を醸し出し、試合会場以外でも凄く一体感がありました。また日本でワールドカップを開催してほしいと思いますし、日本代表も勝ってくれるとラグビー人気が定着すると思います。
また今回のワールドカップ日本大会で楽しみにしていたチームは、エディー・ジョーンズ率いるイングランドです。前回のワールドカップの日本代表でのエディさんの戦い方を、エディジャパンとして体験しているので、今回はイングランドの国民性を理解して、どの様なチーム作りをして指揮をとって闘うのか楽しみにしていました。やはりFWコーチなのでスクラムに特化して観戦していました。」
来季に向けて
「新体制になり来季で2シーズン目に入ります。ヘッドコーチのブラックアダーの考えるチーム作りが、より明確に選手に伝わってくるシーズンだと思います。選手とのフィードバックから、個人として伸ばしたいところをレベルアップする事で、優勝という二文字が見えてくると思います。是非優勝を目指して頑張っていきたいと思います。
個人的にはFWのアシスタントコーチが2シーズン目に入ります。選手にはより理解して貰うために、伝え方を勉強中です。強いFWを作りたいのと、強いスクラムを目指しています。試合会場の観戦に来て頂き、スクラムが押し勝った時などに会場が盛り上がってくれる様な強いFWをファンのためにも作っていきたと思います。」