選手会長としてラグビーを牽引するトップリーガー川村慎
ラグビートップリーグ、NECグリーンロケッツに所属して10年。NEC復活を目指し、日本ラグビーフットボール選手会会長として、日本のラグビーを牽引する川村慎選手。緊急事態宣言が解除された6月初旬に、現在の活動状況をインタビューした。
川村慎(かわむら しん)プロフィール
所属チーム NECグリーンロケッツ
ポジション フッカー 1987年8月6日 生まれ
出身地 東京都調布市 出身校 慶應義塾高校 慶應義塾大学
日本ラグビーフットボール選手会会長
現在の状況
「コロナ禍の状況で、トレーニングする時間や場所等、また仕事も含めて大変な状況だと思います。非常事態宣言が解除されましたので、NECグリーンロケッツのクラブハウスも換気等のコロナウィルスへの対処をしながら、少しずつ使用できる状況となっています。
個人的には、怪しいデカイ男が朝早く公園でマスクをつけて、はぁはぁ言いながらトレーニングしています(笑)。ランニングや、自重でのスクワットなどがメインのトレーニングになっていますが、工夫次第でいろいろな練習が出来たので、良い経験になったと思います。
チームは6月の中旬よりスタートします。この状況下なので、チーム全員での練習は出来ないので、個別の練習を少しずつ増やしていく状況になると思います。」
トップリーグを振り返り
「コロナ禍の影響で、今シーズンのトップリーグは6試合しか消化出来ませんでした。1勝も出来なかったので、チームまた個人としても悔しい気持ちで一杯です。試合毎にチーム状態が積み上がり良くなって行っている感覚はあったのですが、プレーに関して、チームがより具体的に鮮明にイメージ出来ていると良かったのではと思っています。
外国の選手達は頼りになる方ばかりでしたが、日本人選手もより頑張らなければいけないと思いますし、若手からの追い上げなど含めて、チーム内の競争が激しくなれば、よりチームが活性化されると思います。
強いチームは、少ないチャンスをトライまで結びつける集中力が高いと思います。NECはアタックで継続は出来ていますが、最後のトライまで持っていけない、ミスで終わってしまう、という状況だったので、しっかりとフィニッシュ(トライ)まで持っていけるイメージを、チーム全員で共有出来ればと思っています。来季まで準備する時間はありますので、この辺を改善して行きたいですね。」
慶應義塾大学
「大学時代の夏合宿に臨む前に、過去の合宿のビデオを見せられるのですが、そのビデオの内容があまりにも厳しい練習で、親達が見られないような練習が繰り広げられていました。僕たちの時代でも、グランドが暗くなると、車のライトを照らして照明がわりにし、スクラムを組み続ける事もありました。他の有名大学と違い、才能がある選手が集まる大学ではないので、そういう厳しい練習をする事で、勝利する事が不可能だと思われているゲームでも、勝つ事を可能にする事が出来ます。」
無観客試合
「無観客試合に変わるネーミングを募集しているみたいですが、(注1)プレーしている選手からすると無観客かもしれませんが、ドイツのサッカーで試みているように、オンラインで観戦しているユーザーを競技場で映し出し、選手も観客が見ているような感じでプレーしています。試行錯誤しながら、いろいろな国でゲームが進められていくと思います。言葉に変えると『全世界ゲーム』みたいな感じでしょうか(笑)。」
(注1)日本トップリーグ機構の会長・川淵三郎氏が『無観客試合』に変わる名前を募集。
日本ラグビーフットボール選手会会長
「日本ラグビーフットボール選手会は2016年5月に発足しました。選手主体の組織として立ち上げられ、一般社団法人として運営されています。他のプロスポーツにあるような、労働組合としての活動ではなく、日本ラグビー発展のため、選手達の話し合いの場作りや意見を集約し、ラグビー協会、企業、チームを含めた関係各所に話をして行く事、またラグビー普及や社会貢献に対しての活動に、選手自ら活動していく事を主体的に行う組織です。
選手向けのいろいろな研修も毎年開催していますし、今年度はコロナ禍の影響もありますので、オンライン化での活動も企画しています。また、選手達のメンタルヘルスや、キャリアデザインの悩み等も聞けるようなプログラムも開発中で、今後新リーグ(2021年秋)が発足しますが、そこに向けサービスを運営出来る様に準備している状況です。新リーグへの移行に伴い、選手自身の準備も必要になってきますし、選手達の意見を集約し協会側とのやりとりのプロセスに入っていく感じです。
16・17年度に廣瀬俊朗さん、18・19年度に畠山健介さんが会長を務め、今期は自分が務めさせて頂いています。選手会長は各チームの理事から選出され、任期は2年となっています。」
SNSでプレゼント
「協会より、トップリーグの選手だけに配られるIDカードがあり、それに付いているネックストラップがあります。選手だけしか持っていない、めちゃくちゃレア物で、毎年デザインも変わり、可愛いのもカッコ良いのもあります。毎年配られるので、トップリーグに10年間在籍していますので、ネックストラップが10個たまりました。自分で保管していてもしょうがないですし、コロナ禍で自粛されていて大変な人達もいらっしゃるので、何か元気を出すきっかけにならないかと思い、SNSでプレゼント情報を出しました。かなりの数の応募があり、抽選で10名の方達に送らせて頂きました。反響があり、嬉しかったですね。
今までTwitterなどで、いろいろ投稿をあげていますが、YouTubeでの動画投稿は最近始めました。内容は自分がやりたい事をアップして行きますが、皆さんが楽しめるように制作したいと思います。」
しんちゃんねる https://www.youtube.com/channel/UCDwcICblnbyPINkFE0MaAKQ
今後の活動
「トップリーグが2021年1月開幕となっていますので、チームとしてもまだ準備段階ですし、個人的にも身体を作っていく段階です。コロナの影響を見つつ、トレーニングだけでなく、今出来るアスリートとしての活動を頑張ってやっていければと思っています。
選手会の活動も進めて行きますが、大学の先輩の野澤武史さんが発起人で進めているプロジェクト『#ラグビーを止めるな2020』があります。我々トップリーガーも学生ラグビーを経験してこの場でラグビーをやらせて頂いています。コロナ禍の影響で、各種大会がなくなり表現する場がなくなってしまった中学生や高校生達のために、大人が何か出来ないかという事で、選手会としてもこのプロジェクトを応援して行きたいと思っています。また他のスポーツも大変な状況となっていますので、アスリートとして何かお手伝い出来る事があれば、声を掛けて頂き、積極的に参加して行きたと思っています。」