ラグビー7人制日本代表キャプテン 松井千士選手インタビュー

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ラグビー7人制日本代表キャプテン 松井千士

サントリーサンゴリアスに入部して4年目。7人制日本代表のキャプテンとして、日本の翼を支えるスピードスター松井千士選手。コロナ禍の中で、オリンピック延期が決まり、現在の心境と来季に向けての話を聞いてみた。

©Aki NAGAO

松井千士(まつい ちひと)プロフィール
所属チーム  サントリーサンゴリアス(2017年〜)
ボジション ウイング
1994年11月11日 生まれ
出身地 大阪府大阪市
出身校 常翔学園高校 同志社大学
代表歴 日本代表、7人制日本代表、ジュニアジャパン、U20日本代表
    高校日本代表

 

自宅待機中

「コロナ禍の影響で外にはあまり出ておらず、自宅待機している状況です。

緊急事態宣言が発令している最中は、チームのクラブハウスも使用不可となっています。グランドを使用出来ませんし、ウエイトトレーニングもする事が出来ません。おもに自宅で、自重トレーニングと近辺でランニングを行っています。ダッシュするのに手頃な坂があるので、坂ダッシュでトレーニングをしたりしている状況です。自分はスピードが生命線なので、瞬発力は落とさないように気を付けています(笑)。

 

頭を使って

「このような状況化ですので、早くラグビーを出来るような環境に戻って欲しい、という気持ちになります。平時だった時の、ラグビーを出来る有り難さがよく分かりました。

また自宅待機で時間があるので、サンゴリアスの過去の試合や、7人制日本代表の試合の映像を見直しながら、プレーの自己分析をしています。普段ですと練習や試合で身体を動かした後に、しんどい中でプレーの分析等していて大変なのですが、今は時間があるのでリフレッシュした状態で、頭を使う時間を増やしています。コロナ禍が始まった当初は、モチベーションを保つのが非常に難しかったのですが、最近はうまく気持ちの切り替えも出来き、前向きに捉えるようにしています。」

 

関西出身

「大阪出身でバリバリの関西人なのですが、敬語を使うと標準語になってしまいます(笑)。よく関西の人には『関東に心を売ったな』と言われています(笑)。

コテコテの関西弁を話すキャノンイーグルスの橋野さん(7人制日本代表)にはいつも指摘されて『お前ずっと標準語になってるやん』と毎回怒られています(笑)。」

 

スピードスター

「高校1年生の時までは、そこまで足が速くありませんでした。高校の中でもそんなに速くなかったです。でも走ることが好きで、スピード勝負は負けたくないな、と。練習場が河川敷のグランドでしたので、そこの土手の坂を使って、高校1年生の夏から、毎日10本坂道ダッシュのトレーニングを行いました。卒業するまで頑張って継続した事が良かったと思います。卒業する頃には、『めちゃくちゃ脚が速くなっているな』と気が付きました。

自分のプレーの調子は、スムーズにスピードが出ているかで判断します。ウォーミングアップ時に身体が軽く感じた時は、調子が良いですね。

試合の時は、早めにボールを持ちたいですね。7人制はすぐにボールに触る機会がありますが、15人制はなかなかウイングまでボールが回ってきませんので(笑)。一生懸命ボールをもらいに動くのですが、焦って気持ちが空回りしてなかなかボールに触れない時があります。その時は、ちょっとプレーが消極的になり、不安になる事もありますよ(笑)。」

 

7人制ラグビー

「7人制ラグビーと15人制ラグビーは、ルールもほとんど同じなのですが、プレースタイルで求められるものが違います。7人制では、持続してトップスピードで走る事が求められるので、そこに対応したランニングベースのトレーニングが多くなります。15人制に比べて人数が少なく、空いているスペースが広いので、守備範囲も広くなります。相手にタックルするまでのスペースも広く、相手を追いかける距離も長くなり、トップスピードで走る時間が長くなり相当体力が消耗されます。そこが、とてつもなく身体にしんどいですね。」

 

タックル

「元々はボールを持って走ってトライする事が好きだったのですが、最近は7人制でタックルが決まる事が増えてきているので、タックルする感覚が楽しくなって来ています。7人制はスペースが広いので、なかなかタックルが決まりにくいです。世界のトップクラスの選手を相手にすると、そう簡単にタックルを決めさせてくれません。そう言う試合でタックルが決まると、相当嬉しいですね。ファンの方達も、そこは是非見て下さい 。

ワールドラグビーセブンズシリーズなど、ニュージーランドのような世界の強豪と戦う時は、デフェンスが重要になります。試合中に何度か抜かれるシーンも出て来てしまいますが、立て直してギリギリで相手の突破を止めていると、相手側も苛立って来ますし、ミスも出て来ます。彼らはプライドが高いですから(笑)。なんで日本人からトライが取れないんだ、という苛立ちが見えてきます。そこで相手の隙を突いてトライを奪えば、勝利する可能性も見えてきます。」

©Aki NAGAO

7人制日本代表キャプテン

「今までのどのカテゴリーの中でも、キャプテンに指名されることはなかったですが、7人制日本代表で初めてキャプテンを任されました。

今シーズン、キャプテンをやっていた選手が怪我をしてしまい、数試合だけの代理でキャンプテンに任命されたと思っていました。前キャプテンが怪我から復帰しても、岩渕監督から継続してキャプテンのままチームをまとめてもらいたいとの依頼をされました。

指名された時は、キャプテンをやる柄じゃないので、正直葛藤して悩んだ時期がありました。今シーズンは特に、自分自身で何とかしよう、解決しようと抱え込んでしまう部分がありました。オリンピックが1年延期になったこともあり、いろいろ気持ちも整理する時間ができ、今はチームには先輩方が多いので、もっと頼って良いかなと思っています。僕自身も覚悟を決めてやり切りたいと思っています。最初はプレッシャーで重荷になっていた事もあったのですが、今はこういう経験はなかなか出来ないので、幸せに感じて活かしたいと思っています。」

 

K-1 魔裟斗選手

「実はラグビー以外に格闘技も好きです。魔裟斗選手が試合していた頃のK—1が好きで、子供の頃、よくテレビで観戦していました。魔裟斗選手は格闘技の試合に関しては、いつもビックマウスじゃないですか。ラグビー選手は謙虚で相手を称えますが、魔裟斗選手の発言を聞いていると、凄く新鮮に感じました。世界チャンピオンになっていますし、いつも『俺が一番強い!』とか発言しますよね。そういう所がカッコ良く見えますし、憧れますね。ラグビーと格闘技は違いますが、こうやって魅せる選手になりたいなと思いました。ラグビーでもビックマウスやってみたいですね(笑)。」

 

音楽

「音楽は大好きです。よく一人で車に乗ってドライブに行くのですが、車内では音楽をかけて熱唱します(笑)。大きい声で歌うと結構リフレッシュになります。また、試合前はコンセントレーションを高めるため、決まった曲を聴いています。

『Mrs.GREEN APPLE』の『僕のこと』という曲です。ロッカールームでこの曲を聴いて口ずさみながら、コンセントレーションしています。試合前に緊張するタイプなので、頭の中で歌いながらグランドに向かい、試合に挑むようにしています。」

 

来季に向けて

「ワールドカップ以降、ラグビーが盛り上がっている時のコロナ禍でしたので、試合も出来なくなり残念な気持ちもあります。トップリーグも6試合しか開催出来ず、また7人制のワールドラグビーセブンズシリーズも途中から中止になっていましました。

ファンの方もラグビー再開を待ち望んでいますので、来季はより一層、良いプレーをして盛り上げたいと思います。サンゴリアスとしても、トップリーグ優勝を目指しています。

個人としては、オリンピックが来年の7月に延期になってしまいましたが、応援してくれるファンの方達のためにも、メダルを取れるように頑張りたいですね。キャプテンとして、チームを勝利に結びつけられるようにして行きたいですね。楽しみにしていて下さい。」

©Aki NAGAO

 

Mr.Kosei

スポーツをこよなく愛す、謎の格闘家。歌って喋れて戦える、をモットーに日々精進して生活しています。

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