梅が咲き始めた2/15日の土曜日、ラグビーのメッカ東京秩父宮ラグビー場に足を運んでみた。目的は、SUPER RUGBY(スーパー・ラグビー)を観戦する事だ。
SUPER RUGBYとは世界最高のアタッキングラグビーを掲げ、南半球のラグビー大国、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンで構成されているプロラグビーチームのリーグ戦である。日本のチーム狼軍団『サンウルブズ』も2016年より参加しており、5カ国から計15のプロチームが参加する、世界でもっともタフなリーグ戦と言っても過言ではない。東京に本拠地があるサンウルブズだが、シーズン中の移動は地球2周ぐらいを軽く超える。
当日のお目当の試合は、サンウルブズ(日本) 対 チーフス(ニュージーランド)という、サンウルブズにとっては大変強力な相手だ。ご存知の通り、ニュージーランドはラグビー大国ということもあるが、去年のワールドカップ開幕前まで10年弱、世界ランキング1位を持続していた自他共に認める世界No.1のラグビー国である。
ニュージーランド代表は『ALL BLACKS』と呼ばれ、真黒のジャージを身に纏い、世界の全ての代表チームに勝ち越しをしているチームだ。なんと『ALL BLACKS』に勝利した国は6カ国しかない。また『ALL BLACKS』が試合前に行う踊り(儀式)は、先住民マオリの戦士が戦いの前に踊る儀式で『ハカ』と言われ、試合相手を威嚇し恐怖に落とし込む。
その『ALL BLACKS』が多数所属しているのが、ニュージーランドのWaikatoに本拠地を置くプロチーム『チーフス』だ。2015年度には日本代表の東芝ブレイブルーパス所属のリーチ・マイケルが所属しており、2016年度には神戸製鋼コベルコスティーラーズ所属の山下裕史もプレーをしていた、日本には馴染みのある人気チームだ。
2/1の開幕戦、オーストラリアのチーム『レベルズ』に快勝したサンウルブズへの期待感と、今季2試合目での人気チームとの対戦という事もあり、また当日は4月初めを思わせる暖かい陽気に包まれ、秩父宮ラグビー場の入場者数は18,708人というフルハウスに近い観客が熱戦に訪れた。
今年でSUPER RUGBYから撤退しなければならない日本のチーム、サンウルブズの応援もあるが、なんと言っても今回の目玉はチーフスの15番、『ダミアン・マッケンジー』だ。
昨年のSUPER RUGBYシーズン中に右膝の前十字靭帯断裂の大怪我をし、ワールドカップ出場を果たせず、悔し涙を飲んでいたニュージーランドの若きスーパースターである。
正確なプレスキックの前の『笑み』が特徴的で、端正な顔立ちから『笑顔の貴公子』とも呼ばれている。2015年にSUPER RUGBYデビューを果たし、2016年には199得点、10トライで、ともにリーグ2位につける活躍をし、一気に『ALL BLACKS』まで駆け上がった。体格も日本人と変わらず、身長も決して高くはないが、スピードとステップを武器に、積極的なランでファンを魅了する選手だ。
一方、今年のサンウルブズは前年度よりさらに多国籍軍化(多くの外国籍の選手が所属)しているが、予想を上回るまとまりのあるチームに進化してきている。今春、早稲田大学卒業の中野将伍、齋藤直人の若い二人を起用する事で、次世代の日本代表候補の強化にも継なげている。
試合は、お互いの探りあいの中、サンウルブズが左隅にトライをして先制したものの、徐々にチーフスが力を発揮し、密集でのボールの争奪戦(ブレイクダウン)やラインデイフェンスのスピードでも優位に立つ事に。一進一退の中、バックスのスピードで勝るチーフスが、見事に相手ディフェンスを崩し、立て続けにトライを奪う。サンウルブズも粘りを見せ、ボールを保持すれば必ずゲイン(前進)する力は見せるも、あと一歩及ばずゲーム終了。ファイナルスコアーは17対43と、ニュージーランド勢の強さを見せつけられた試合でもあったが、今年のサンウルブズなら今後も何かやってくれそうな、期待が持てるゲーム展開となった。
期待のマッケンジーも、1トライを含め、ラン、キックと徐々に調子が上がってきている様だ。サンウルブズのディフェンスを何度もスピードとステップで切り裂き、味方の得点に結びつけている姿に、観客からは大声援が送られていた。スピードに関しても怪我する以前と遜色がない状態に戻ってきている様なので、今後の活躍が非常に楽しみだ。プレスキック時の『笑み』もオーロラビジョンに大きく映し出され、大きな歓声とともにファンを魅了した。
今年11月に Japan 対 New Zealand戦が組まれるとの事なので、是非マッケンジーには『ALL BLACKS』に復帰し、また日本でのプレーする姿を見てみたいと思う。
ラグビーはTV観戦より実際にスタジアムに足を運んで観戦するのが面白い。選手の大きさにも圧倒されるが、トップスピードで大男達が当たり合う音は、まさに異次元の世界だ。痛がらないのも良い。最後まで諦めないのも良い。
昨年のワールドカップ以降、日本代表の活躍によりラグビー場に多くの観客が訪れる様になってきた。ラグビーを知らなかった人達も、スタジアム足を運ぶ様になり、ラグビーの面白さが少しずつ浸透してきている気がする。これを機に、まだラグビー観戦をしていない方はスタジアムに行かれてみてはいかがだろうか?
サンウルブズの日本での今後の試合日程
ROUND6 3/8 ブランビーズ(オーストラリア)戦 花園ラグビー場
ROUND7 3/14 クルセイダーズ(ニュージーランド)戦 秩父宮ラグビー場
ROUND10 4/5 レッズ(オーストラリア)戦 秩父宮ラグビー場
ROUND15 5/8 ワラターズ (オーストラリア)戦 秩父宮ラグビー場