緊急事態宣言が開け、女子ラグビーチームも活動が再開。昨年怪我をした膝の前十字靭帯断裂から、再起をかけて練習を再開した青木蘭さん。現在どの様な活動中なのかBONURで2回目のインタビューを試みた。
青木蘭プロフィール
神奈川県茅ヶ崎市出身。15歳で神奈川から島根へ国内留学。石見智翠館高校キャプテンとして全国大会2連覇、大会MVP獲得。慶應義塾大学SFCに進学し、慶應史上初の女子ラグビーチーム創設。現在横河電機でフルタイム働きながら横河武蔵野アルテミ・スターズでスタンドオフとしてプレーしている。
コロナ禍の影響で
「緊急事態宣言中は自粛という事で、会社から在宅ワークの指示の中、3月より家でずっと仕事をしており、現在もその状況が続いています。仕事終わった後に近所の公園で一人でパス練習をしていました。最初の1ヶ月は家にリモートワークの環境が整っていなかったので、いろいろと精神面も辛かったですね。さすがに慣れて来て今は大丈夫です(笑)。
トレーニングに関しては、仕事終わった後に近所の公園で、一人でパス練習をしていました。また朝練などもやっていたので、身体が疲れていて在宅ワーク中に結構眠くなってしまいます(笑)。」
怪我の回復
「怪我の状況は完全復帰出来るまで回復しています。今はチームに合流して練習が始まっています。膝の前十字靭帯の怪我は、本当に孤独な戦いだなと思って。。。回復まで長く時間がかかりますし、一人でリハビリしていかなければならなかったので、本当に辛かったですね。今は全然痛みもなくなりましたし、フィットネスのトレーニングでもチームで上位を争える様に戻って来ています。コンタクトプレーの練習を行う様になったらどうなるかな、と少し心配はありますが。
でも、ラグビー出来るという事だけで、本当に人生豊かになるなと感じています。」
チーム練習再開
「緊急事態宣言が解除されてチーム練習が再開されました。コロナ感染予防で、当初は4人一組ぐらいの少人数からのグループ練習で始まりましたが、最近やっと全体練習ができる様になりました。お陰で、全体練習出来る様な環境になったので、監督のやる気のテンション上がってしまい、練習メニューが厳しいフィットネス三昧です(笑)。コンタクトプレーの練習は密集密接を避けるため、まだ始まっていません。8月ぐらいから出来そうと言われていますが、この状況なので何とも言えないですね。」
プレースタイルも変化
「普段のボールを使った練習でも、一人一人の間隔が密にならない様に今までより人との距離を取っています。この影響で、今後女子ラグビーでは長いパスの距離が求められる様になると思いました。これは戦術的に強みになると思います。
またパススピードも必要ですね。速いパスを投げることにより、パスで人を抜くイメージです。以前からパスの速さをずっと追求して練習していましたので、一回のパスで相手ディフェンスをずらす事ができるのは強みだと思います。
自粛中は一人でネットに向かってパス練習をしていました。壁を使ったパス練習もしたかったのですが、なかなか近所に壁がなく、壁を見つけるのは大変ですよね(笑)。」
格闘技からのヒント
「最近、プロレスや格闘技を見る様になりました(笑)。総合格闘技の選手で朝倉未来(あさくら みくる)さんという方がいるのですが、彼の試合をYouTubeで見ていて、あのフットワークや人をかわす動作はラグビーに生きるなと(笑)。すっかりハマってしまい、お父さんに格闘技の技を掛けたりします(笑)。個人練習として、格闘技の道場に通うかと思っているほどです。チーム練習でも動き続ける有酸素運動として、ボクシングのパンチ練習は取り入れています。」
傷もファッション
「ラグビーはコンタクトスポーツなので、頭同士が当たってしまい目の近辺を切ってしまう事がよくあります。最近、顔に傷が出来る事にもだんだん慣れて来て、傷もファッションの一つなんじゃないかと(笑)。足などにも擦り傷や生傷が絶えないのですが、私はわざと傷をさらけ出して短パンとか履いています(笑)。
内出血はしやすい方なので、目の周りに青タンが出来たりもしますよ。学生の時は、目の周りが内出血して青くなったりするのが自分の中でカッコよくて。その傷どうしたの?と周りに言ってもらうのも嬉しかったりして(笑)。ワザとタックルもらって、ちょっと青タンを作ろとした時もありましたよ(笑)。今は流石にそんなことは全然思いませんが(笑)。
薄着です
「先日インスタグラムにノースリーブの写真をアップしましたが、気温も24度でそんなに暑くない日でした(笑)。練習の後とかでなく、普通にこの気温でノースリーブが私服なんです。
暑くてオフィースカジュアルなどは着こなせないです(笑)。筋肉は暑いです(笑)。」
新ルールにともない
「ワールドラグビーが新ルールのガイドライン(注1)を発表しましたが、アルテミ・スターズはフォワード(FW)が強いチームなので、新ルールはチーム的には不利かなと感じています。FWでスクラムで押してターオーバー獲得がチームでのセオリーという所もありますので、このルール変更になると厳しいですね。でも、今開催している、SUPER RUGBY(ニュージランド、オーストラリアのみで開催中)では、新ルール適用されていないですよね。いつから採用されるのですかね?日本の場合、ルール改正などはすぐに実行するケースが多く、最初に実験でやるのが女子の試合が多いですよ(笑)。」
(注1)暫定的試験実施ルール
反則が見られない場合は、スクラムのやり直しをしない。スクラムの組み直しは1試合につき平均3.5回行われており、このルールで感染リスクを30%減少させる。
今後は
「女子ラグビーは主要な大会が全て延期になり、現状では目指す大会がありません。毎日の練習を大切にして、大会がいつ開催されてもいい様に、チームとして準備を怠らない様にしていこうと思っています。みなさん、ぜひ女子ラグビーを応援してください!」