ラグビートップリーグ　キヤノンイーグルスを牽引する男　橋野皓介

キヤノンイーグルス提供

一年前のインタビュー時は、東京オリンピックに向けラグビー7人制日本代表の合宿の最中。それから1年。取り巻く環境が大きく変化し、東京オリンピックが1年延期となったことにより、代表からの離脱が発表された中、現在の状況を聞いてみた。

橋野皓介プロフィール
所属チーム　キヤノンイーグルス
ポジション　ウイング・フルバック
1987年11月20日　生まれ
出身地　　大阪府枚方市
出身校　　大阪工大高校、同志社大学
ラグビー７人制日本代表

コロナ禍の中で

「非常事態宣言中はキヤノンのグラウンドも使用出来ず、また会社も休業の期間がありましたので、２ヶ月間、家に籠もりっぱなしの状況でした。外に出るのは、家の近所の公園でランニングするくらいでした。家の中でのトレーニングは腕立て伏せ等のフリーハンドトレーニングするくらいでした。この様な状況下で生活する事は初めてですし、本当に限られた事しか出来ませんでした。

6月に入りグランドが使用可能となり、チームから出された個人トレーニングのメニューを黙々とこなしていました。グランド等も自分が使用できる時間も細かく区切られていて、シャワールームも使用禁止ですし、クラブハウス内も歩く導線も決められていて、凄く制限されていた中でのトレーニングとなっていました。」

昨シーズンは

「トップリーグの2020シーズンは、キヤノンには良い選手が多数おりチームのポテンシャルは凄くあったと思います。ただ、プレー以外の時もそうですし、試合中もそうでしたが、なかなかチーム全体が一つにまとまりきれていなかった様に思えます。まとまりきれていない事が、試合でストレートにプレーに反映してしまっていました。一度失点してしまうと、ズルズルと失点を重ねてしまいゲームを立ち直せない状況が続いていました。良い選手が多いので、チームが一つになれれば、もっと順位が上に行けると思っています。

打倒、神戸製鋼！（2019シーズン優勝）そこまでいきなり言ってしまうのはどうかと思うんですが（笑）。追いつける様に、頑張ります！」

新シーズンに向けて始動

「7月の中旬より全体練習が始まりました。まだスタートしたばかりです。監督が沢木敬介さん（注１）になり、まだ練習が１週間しか経っていないですが、多分キヤノンは強くなると思います（笑）。そんな予感がビンビンしますよ！

沢木監督になり本当にチームの雰囲気が変わりました。沢木監督が言葉でアクションを起こすわけではないのですが、グランドに立っているだけで、それだけで全てのコーチングになっています。若手選手達には、監督に見られている、という事だけで、それだけで良い指導と刺激を受けていると思います。見られているから、自分自身ももう一度しっかりと見つめなおせるという環境になって来ています。沢木さんの様なタイプの日本人監督やコーチはなかなかいませんので、チームが一つになり強くなると確信しています！

新ディフェンスコーチのアリスター・ロジャース（ニュージーランド）はコロナの関係でまだ来日は出来ていませんが、オールブラックスのアナリストで、スーパーラグビーのブルーズのアシスタントコーチと経歴が凄いコーチなので楽しみですね。」

（注１）　日本ラグビーのトップ指導者。サントリーサンゴリアス監督時代に、トップリーグ２連覇を達成。

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7人制（セブンズ）日本代表を離脱

「オリンピックが延期になるのか中止になるのかと、噂話が流れ出した頃は、まあ、今までオリンピックが延期になったケースはないので、それはないだろう、と軽く考えていました。その様な中で、延期が発表された時に体力的にというわけでなく、気持ちの面で1年後に向けて切り替える事が出来ませんでした。

リオオリンピックは怪我で出場する事が出来ず、リオの後また日本代表に復帰しこれまで3年半やって来て、そんな簡単に結論を出して辞めていいのか、という自分の中での葛藤がありました。すぐに日本代表を離脱するという結論を出さないで、もう一度しっかり考えて見つめ直してみようと。

もちろん体力的な面もないといえば嘘になるのですが、気持ちの面が圧倒的に大きかったですね。セブンズはスピードと持久力が必要な競技なので、なかなかこの年齢でもう1年頑張るのは難しいなと。

また若手の選手達が凄く成長して来ているというのもありました。いろいろな事が重なり、ちょっとこれ以上セブンズでプレーするという事は自分にとって本当に良い事なのか、という考えに至った時に、これはもう辞めて区切りをつけた方が良いな、という結論に至り代表離脱を決意しました。

セブンズでの自分のポジションも、一番俊敏性と体力が必要とされるポジションでした。そういう意味でも来年には34歳になるので、年齢を言い訳にするのはどうかと思うのですが、やっぱりちょっと厳しいかなと。

リオの悔しさもあったので、何としてでも出場したいという思いでしたが、なんとか33歳の年まで頑張ろうと思って来たのですが、コロナの影響でもう一年延期というのは思いもよらなかったです。自分の中でだいぶ辛い判断となりましたが、これも人生と受け止めて次に向かって行こうと思います。」

7人制日本代表キャプテン松井千士

「7人制日本代表のキャプテンに松井千士選手が選ばれました。本当に彼はここ一年で急成長しました！しかも、いきなりサントリーサンゴリアスからキヤノンイーグルスへ移籍してきたのにはビックリしました！本人から何も言われていませんでしたよ。同じ大阪出身で、高校も大学でも彼は後輩なのですが（笑）。これでキヤノンでも後輩になりました。

松井選手が話す標準語について一言あります（笑）。キャプテンになってから人前やチームの中で話す機会が増えてきて、関西弁を使わず標準語で話すので、僕には内容がまるで頭に入ってこないです（笑）。言葉使いが気になって気になって、内容がまるで頭に入って来ません（笑）。彼は関東に出て来てまだ３、4年なのに、そこまで標準語に染まるか、と。」

ファンには感謝

「ラグビーのファンは本当に温かい人が多いです。特にセブンズのファンはさらにコアなファンが多いですよ。ワールドラグビーセブンズシリーズの全試合現地まで応援に来てくれる方もいます。本当に応援の凄い熱を感じます。選手の励みにもなりますし、本当にありがたく思っています。」

コーヒー

「リラックスするためにコーヒーはよく飲みます。コーヒー大好きです。味に拘りとかは一切なくて、コーヒー自体が好きなんですよ（笑）。一日最低４杯は飲みます。以前は夜にも飲んでいたのですが、利尿作用で夜に目が醒めるので、最近は夕方までにしています（笑）。それとコーヒーと一緒にチョコレートも食べます（笑）。コーヒーとチョコレートは一番のリラックスタイムですね。」

意気込み

「まずキヤノンイーグルスを良いチーム強いチームにする、そしてトップリーグで上位を目指す。そこにフォーカスしていく事が、これから自分がやるべきミッションだと思っています。

今シーズンは、田村優選手が新キャプテンに任命されました。田村選手も、ラグビーキャリアを通じて初めてのキャプテンと言っています。チームをまとめて活躍してくれると思っています。キヤノンイーグルスに期待して下さい。応援よろしくお願いします。」

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