元プロのミュージシャンの経歴を持ち、幅広い分野のスポーツ実況をこなす。ライブ感溢れる言葉で、聴く人を魅了する市川アナウンサー。緊急事態宣言が解除され、活動が再開し始めた6月半ばに、現在の状況を聞いてみた。
市川勝也(いちかわ かつや)プロフィール
1969年4月11日生まれ
出身地 東京都府中市
趣味 自転車ツーリング、ジョキング、競馬
特技 剣道
ボイスオン所属 アナウンサー ナレーター
元プロのロックミュージシャン。異色の経歴を持ち、ハスキーボイスとライブ感溢れるシャウトが聞く人の魂を揺さぶる。
☆実況
フジテレビ「RIZIN」
GAORA SPORTS「DRAGON GATE無限大〜infinity〜」「スラックライン」
J SPORTS「ワールドスーパーバイク」「ワールドスーパースポーツ」「ハンドボール」
ABEMA「大相撲LIVE」「プロレスリング・ノア」
ABEMA・GAORA SPORTS「K-1 WORLD GP」「Krush」「KHAOS」
DAZN「F1」「F2」
日テレG+「プロレスリング・ノアSP」
☆ナレーション
フジテレビ「週末はウマでしょ!」 ほか
コロナ禍の中で
「格闘技でしたら、K-1、プロレス、RIZIN、大相撲、他のスポーツですと、カーレースのフォーミューラ1と2、バイクレース等を実況しているのですが、コロナ禍の影響で開催が全てなくなりました。本当にこれからどうすればいいの?、という事を考えながら在宅で過ごしている状況でした。その様な中で、無観客で行われたプロレスの実況や、その他ナレーションなどを担当させて頂き、なんとか生かされたなと(笑)。
腰痛持ちで全治2ヶ月の重症に陥ってしまい、4月から6月までリハビリが続いていました。身体のあちらこちらにガタきているのですが、こんなご時世なので、逆に養生出来るいい機会になったのかな、と思っています。スポーツ選手はこの状況はもっと大変ですから(笑)。このコロナ禍の中、身体のコンディションをどうキープすれば良いのか?精神面も含めて、選手達は大変だと思います。これこそいろいろ試されている、と考えられますよね。」
ネットワーク配信
「スポーツ界ではリモートマッチという言葉が出来ましたが、プロレス的に言うと『ノーピープルマッチ』、『TVマッチ』と称して動き出しています。プロレスリング・ノア、ドラゴンゲートの実況を担当していますし、新日本プロレスも再開し始め、ネットワークの配信コンテンツとして、スピード感を持ってファンにお届けしている流れになって来ています。現場での実況もすでに始まっています。現場に行くと、対応すべき問題が山積みで大変な状況ですが、みんな燃えて頑張っているなと感じます。今が新しい分岐点だと考えて、ファンに頑張って伝えようと走り出していますね。こういう事が、プロレスが人々を元気にする象徴かもしれませんね。各プロモーションの方々、プロデュース能力の見せ所だと思います。」
プロレスの実況
「プロレスはある意味で、観ている側にとっては驚きの事件の連続だと思います。人間がリングに上がってあんな凄い事をやっているのは、本当に非現実ですから驚いて当然だと思います(笑)。選手のドラマ性は全てのスポーツに当てはまるのですが、プロレスの場合、選手の気持ちの動きが見えた瞬間は驚きを隠せないですね。それが実況に繋がっていきます。
観ている方達も、この選手は、どこで産まれて、何歳でどういう人なのか、というような事でも、選手に対しての感情移入をするにあたり重要なポイントだと思っています。例えば、意外な職業に就いていたり、アニメオタクだったりなど、差し障りない程度で紹介した方が、その選手を好きになってくれるきっかけになると思います。
実況中に、技の名前が実際すぐに出て来なかったり、記憶から飛んでいることあります(笑)。ノートに技の名前を書いていますので、一瞬の間で『この技は、』と繋ぎ、1秒稼いでノートをちらっと見て、その技の名前を言ったりします。実況はレスポンス勝負ですよね。」
言葉はライブ感
「実況の時に、用意して来たフレーズを使おうとすると、何かと嘘くさくなりますね(笑)。入場の煽りの言葉も少し考えたりもしますが、一番大切なのは登場してきた時のライブ感です。選手が何を思って登場してきたのか、表情を見て伝えることが大事だと思います。試合に関しては、展開も結末も毎回驚きの連続なので、その気持ちを重視し自然に生まれる言葉を大事にしています。前の晩に考えながら、この言葉使おう、と思って書き留めておいてもほとんど使うことはないです(笑)。ライブなので生きた言葉が重要です。
もともとロック歌手でしたので、入場シーンの選手紹介とかは、歌手と同じだと思っています。流れ、リズム、語感の良さを大切にリズミカルに伝える様にしています。」
デビュー20周年
「所属しているボイスオンも来年で20周年なのですが、ボスの矢野武(格闘技、ラグビーでとどろく熱血実況は、ジャンルを超えてバラエティーでも炸裂!)は、幾つになっても追いつけない存在です。僕の場合、30歳過ぎてアナウンサー、ナレーターデビューしているので、本当に遅いデビューですよね。
アナウンサーの先輩方の喋り方に囚われてしまうと勝負にならないので、先輩方から話し方を教わるのではなく、自分は自分という事を意識して、試行錯誤しながら今の喋り方を編み出しました。来年でようやく僕もデビュー20周年になります(笑)。」
PRIDE(注1)
「総合格闘技で爆発的な人気のあったイベント、PRIDEの後期の実況をやらせて頂きました。その後、PRIDEが活動停止になってしまい、行き場を失ったスタッフ達が熱い想いで開催したイベント「やれんのか!大晦日! 2007」のメイン実況をやらせて頂いたのが、今でも心の中の財産となっています。PRIDEの信者達と言いますか、あの熱のあるファン達が2万人以上集まって、実況中に背中から伝わる会場の中の異常な高揚感は初めての経験でした。あれが一番の思い出です。それを超える実況をやりたいですね!!」
(注1)日本の総合格闘技イベント。一大ムーブメントを引き起こす。1997年から1999年までKRSが1999年から2007年までドリームステージエンターテインメントが開催していた。
アナウンサーとして
「自分の生き方に通じるのですが、一生懸命頑張っている人を、茶化す様な言い方や、傷つける様な言い方は絶対してはいけません。『こんな事を言っていますが皆さんどう思いますか?』と問いかけるのは良いですが、アナウンサーが主観と自分の意見で一刀両断する事は、そこだけはしない様に気をつけています。最初にはまず、選手に対しての愛情があるべきだと思います。選手の実況を追求して行くほど、シビアになればなるほど、愛情が問われてくると思います。自分達の実況により選手生命がかかっていると思っています。その一言を実況で伝えたので、選手の道が広がった、という選手もいると思います。そこにちょっとでも力になれたら、と思っています。」
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