【インタビュー】総合格闘家|スチュアート・フルトン

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スコットランドからやって来た、優しい目をした格闘家

 

総合格闘家のスチュアート・フルトン。彼と出会ったのは17年前に遡る。身長は2mある大男だが、まだ痩せていて青年の面影を残していた。スコットランドから来日し、英語教師、プロの格闘家として活動し、引退した今はTV番組の格闘技の解説や、リングアナウンサーを務めている。昔はチームメイトとして一緒に練習していたが、引退後はなかなか会う機会がなく、久しぶりに彼の元を訪ねてみた。

来日時は痩せていた。

「2001年1月に来日しました。当時は92kgぐらいで、ライトヘビー級の重さでした(笑)。今は110kgぐらいですね。身長は2mぐらいで、ずっと変わってません(笑)。来日時は24歳でしたが今は43歳になりました。時間立つのは、あっという間ですね。」

練習キツかった!!

「一緒のチームで練習していたあの頃は本当に大変でした。本当にキツかったです。懐かしいですね。練習前の緊張感も凄かったですし。でも黒澤浩樹さん(伝説の空手家、格闘マシーンの異名を持つ)のお陰で、すごく良い練習が出来ました。スパーリングで対峙してあれだけ圧力が凄い人は、今まで出会った事がありません。色々なトップ選手と練習してきましたが。あのローキック、恐ろしい。。。。キックをもらうと翌日は全然歩けない(笑)。フロントキックも、凄い一撃をお腹にもらって、道場から外に走って嘔吐しに行きました(笑)。」

TV解説。

「総合格闘技の解説を任される人は少ないです。この仕事をやらせて頂き、本当に嬉しいです。解説をよく知らない人は、解説テーブルのソファーに座って友達と話をしている様に見えてしまいますが、実際は本当に難しいです。モニターも置いてあり確認も出来るのですが、試合の展開も早い、色々な技も出ますし、リング内は選手が重なりブラインドサイドも出来てしまい、アングルによって技が見え辛い事もあります。寝技は上に乗っている人が責めている様に見えますが、下側の選手が攻めている事もありますし、色々な所で技のフェイントの掛け合いもありますね。一般のファンが観ていても、分かりやすい様に解説をしなければいけません。日本語が喋れたお陰で、解説の仕事も頂けたと思っています。」

格闘技できるかも。

「スコットランドの大学卒業時に、どんな仕事に就くか悩みました。最初はエジンバラにある大きな会社に就職して、このままでいいのか、ちょっと悩みました。一生この席に座って仕事出来るかな?事務の仕事続けられるかな?思いましたよ、本当に。その後、大学のキャリアアドバイザーに相談し、イギリスで英語の先生になろうかと考えました。同時に海外の道も考えていて、スペインか中国に行こうかと。行った事ない所に行きたかった。そうしたら、キャリアアドバイザーに『今、日本では仕事のチャンスがいろいろありますよ』、と言われ、その時、頭に閃いたのが、『日本に行けば格闘技も出来るかも』、と(笑)。その頃、エジンバラの格闘技ジムで、桜庭和志(日本のトップ総合格闘家)さんの試合をビデオで見たら、凄く感動しましたよ。こんな素晴らしい選手がいる日本に行きたいと。そして面接受けて1ヶ月後、日本に来る事が出来ました。最初は英会話を教えていて、その後、英会話教室のマネージャーになり、そして大学での英語の仕事のオファーがあって、今は大学4校で英語を教えています。大学で新学期の最初の授業の時は、さすがに生徒は驚きますよ。この身体なので、みんな怖いらしく、宿題出しても忘れずにちゃんとやってきますよ(笑)。可愛いですね。」

日本で格闘技を始めたきっかけ。

「最初は高田道場(プロレスラー高田延彦が設立)のフィジカルテスト(入門テスト)を受けました。テスト内容は技術的なものではなく、根性ですね。ひたすら根性を試される。死ぬかと思いました(笑)1週間ぐらい筋肉痛で歩けませんでしたよ(笑)。

結局、コミュニケーションが取れなかったので半年ぐらいで辞めてしまいました。来日したばかりで、日本語のリスニングは聞き取れるのですが、喋る方がまるで出来なかった。なかなか言葉がパッと出てこなかったです。

その後は、和術慧舟會(総合格闘団体)で練習する様になり、須藤元気(タレント、総合格闘家)さんと出会い、一緒にチームを作って2003年にプロデビューしました。須藤元気さんは、その頃UFC(アメリカの総合格闘技の大会)に出場していて不在が多く、なかなか一緒に練習出来ませんでしたね。

お陰様で、いろいろなプロの格闘技の団体に出場出来る様になりました。その後はフリーで練習する様になり、主に高阪剛(日本を代表する総合格闘家)さんのチームで練習をやらせて頂きました。なかなか日本ではヘビー級が集まり練習できる環境が少ないので、高阪さんのチームで練習出来たお陰で、いろいろな団体や格闘チームと繋がりが持てる様になりました。本当に高坂さんには感謝しています。」

練習時間は?

「一回の練習時間は、実はそんなに長くやりません。1時間から1時間半ぐらい。それ以上やると、集中力なくなるし怪我もするかもしれないし、あまり意味がないと思っています。格闘技は総合スポーツなので、いろいろな練習をやらなければなりません。ボクシング、寝技、キック、レスリング、ランニング、ウエイトトレーニング、1日24時間あっても足りません(笑)。タイムマネージメントが本当に大切。怪我をした時も、怪我のマネージメントを考える事は重要。回復具合によりどんな練習が出来るのか。完全に休んだらダメなので。練習を続ける事が大事です。」

敗戦。

「格闘技は勝敗がはっきりしているので、負けた時は人生で打ちのめされた感覚になります。本当に落ち込みます。辛いですね。チャンピオンでも、みんなそうだと思います。自分の気持ちを、立て直すことが大切です。敗因は何か、試合を見つめ直すことも重要です。負けた翌日、道場に行って何が出来るのか。チームや周りの人に支えてもらう事で、気持ちの整理も出来たりします。」

メインエベンター。

「メインエベンターは本当に大変ですよ。選手みんなが試合を終わっても、最後まで控え室に残って、コンセントレーションしていなければならないし。他の試合が盛り上がっていないと、自分の試合で盛り上がるように頑張らなければいけないし。プレッシャー半端じゃないですね。出来れば第一試合が良いです(笑)。

リングに上がる前、控え室で待っているのは本当に嫌ですね。控え室でセコンドと雑談していると落ち着きます。どんなくだらない話でも気持ちがリラックス出来ます。

リングに上がると怖いですが、試合が始まったらすぐに落ち着きますよ。心がシーンとするのが分かります。自分の世界に入ったんだと。自分はもっとアドレナリン出して、アグレッシブに行かないといけませんね(笑)。」

思い出に残る試合。

「最後の2試合です。一つは、小さい大会でしたが、その日は息子の2歳の誕生日で、『絶対負けちゃいけない!』と。しっかり気持ちを入れて頑張りましたよ。1RでKO勝ち。本当に気持ち良くて、凄く嬉しかった!

もう一つが最後の試合、1R35秒でパンチでKO勝ち。それまで怪我続きで、結果がなかなか出せなくて。悔しくて悔しくて。自分の実力を見せられなくて。

最後の2試合をKO勝ち出来たので、スッキリした気持ちになれました。」

家族が出来て。

「家族が出来ると、守るものがあり、戦う意識も変わってきますね。最後の試合は、奥さんと息子が試合を観に来てくれました。試合前は絶対話さない様にしていました。自分の集中力を崩してしまうと思って。でもやっぱり子供が見てくれると力出ますね!リングから奥さんも子供がどこで観ているか分かりました。最後の試合だったので、試合後は、奥さんは泣いてましたね。」

 

温厚な人柄と、優しい瞳、流暢な日本語を話す姿は当時と変わっておらず、久しぶりの再会は楽しく、時間が立つのを忘れさせてくれる内容となった。

帰り際に、スチャアートが一言「練習また一緒にやりましょう!!」

お互いに年齢を重ねて来たが、またいつかグローブを合わせる時が来るかな。

 

スチュアート(中央)と記者(右)©BONUR

©BONUR

 

 

スチュアート・フルトンの解説が聴けるのは

UFC Fight Pass

https://welcome.ufcfightpass.com/region/japan

 

 

 

 

 

 

 

Mr.Kosei

スポーツをこよなく愛す、謎の格闘家。歌って喋れて戦える、をモットーに日々精進して生活しています。

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